ドイツのたまごパックから学ぶ、卵の事情【ベジタリアン・ヴィーガン】

ドイツのたまごパックから学ぶ、卵の事情【ベジタリアン・ビーガン】
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公開日 2021年8月6日 最終更新日 2021年8月8日

ドイツのスーパーマーケットでを探していると、様々な名前のついたパッケージを目にします。そう、ドイツでは鶏の育て方によって主に3つの形態があって、それが一目瞭然で見分けることができるようになっています。

これまで様々な生地で、ベジタリアン・ビーガンの話や食肉が環境に及ぼす影響についてなどを書いてきましたが、この記事ではドイツの鶏卵がどのような条件で育てられているのか紹介したいと思います。

 

鶏卵を育てる4つの形態:Käfighaltung(ケージ飼い)

4~5羽の鶏が同じケージに入れられ、1匹当たりに与えられる場所はわずか550㎠でこれはA4の紙よりも少なく、鶏は足や羽を延ばしたりすることすらできません。このケージは2階建てから8階建てまで認められていて、日光は与えられないので骨が弱く折れやすい病気になったりします。

骨折の重傷はよく起こり、ケージの金網で傷を負ったり場所がないために鶏同士が動くことによって傷を負うことも。明らかな病気や傷に加えて、鶏がストレスを持ってしまうのは当然です。

雄鶏は殉教を受け、走り回ったり、飛んだり跳ねたりできないことが12~14ヶ月続きますが、5~10%の雄鶏は生きのびずにそれまでに命を落としてしまいます。飼育員がそれに気付かずに他の鶏に踏みつけられて腐敗してしまっていることもあるそうです。さらにはエサに合成ビタミン・薬・着色料が入っている為死亡率も高いのが現状です。

しかし、この飼育法はヨーロッパで2012年から禁止され、ausgestaltete Käfigeという新しい条件の元1羽あたり750㎠の場所を与えられるようになり、ケージの中には工夫が施されるようになりましたが、いまだに十分なスペースとはいえないのは明らかです。

鶏卵を育てる4つの形態:Bodenhaltung(地飼い)

大半の卵はこの条件で生産されています。1㎡当たり9羽の鶏を飼うことが許されていますが、鶏が座ったりできる止まり木と産卵巣が上に向かって(階数を増やして)設置されていれば18羽までの鶏を飼うことが許されています。これをVolierenhaltung(禽舎飼い)といいます。

決して広くない鶏舎の中に6000羽までの鶏が押し込まれているわけですが、鶏同士のつつき合いや共食いが起こったり、外傷による死因もありますが主な鶏の死因はストレスからです。

この狭さではケージの中で飼われるのと同様に、鶏には十分な場所が与えられず足や羽を伸ばしたり、エサを探したり運動することはできません。

鶏卵を育てる4つの形態:Freilandhaltung(平飼い)

日中は1羽あたり4㎡の牧草地を自由に運動できるけれど、小屋の中の条件はBodenhaltungと同様です。

大きな平飼いの場でも問題があり、鶏舎近くの運動する場所と緑の領域を使いすぎてしまうことで、ドロドロになった場所に寄生虫がたまり、産卵鶏の健康を害することもあります。

なのでそれらを避けるために、定期的に鶏舎近くの床(地面)を崩してまた張り替える作業が必要なのです。それらを乾かしたり衛生面でキレイに保つには様々なやり方があり、例えば粗目で透水性の高い素材を使うことで、寄生虫がわいてしまうのを防いだりします。

また牧草の構造が不完全で鶏たちが利用しない場合があります。鶏たちが守られていると感じて、他の鳥が襲ってくるような危険がやって来た場合すぐに避難所を見つけられるようにしてあるので、鶏が外に出やすくしているのですが、牧草地を定期的にかえることは必要不可欠な中、これらの要求はあまり考慮されることがないので、鶏が外に出たくない環境を作っていることがあります。

鶏卵を育てる4つの形態:Biohaltung(有機飼い)

全ての鶏が1羽あたり4㎡の行動範囲が与えられ、鶏舎の中でも1㎡につき最大6羽まで飼育できること、小屋の1/3には産卵巣・止まり木・あし掻き場があることが条件です。小屋の中では最大3000羽の鶏を飼うことが許されています。予防のための薬物使用はBiohaltung(有機飼い)において禁止されています。

Biohaltung(有機飼い)の最大の利点は、農場の有機農法です。例えば動物の扱いはその動物が飼われる土地と結びついていることで、その土地全ての動物が栄養を摂れるだけの動物が飼育されているので、土壌から栄養素を吸収できるのと同じだけの肥料が生産されます。飼料は農薬・化学合成肥料・遺伝子組み換えでないもので作られています。

 

問題はそれだけじゃない

全ての形態で生後1日のヒヨコのオスは産卵することがなく経済的に利益がないので殺されてしまうことや、Biohaltung(有機飼い)以外の形態で共食いや傷つけ合いをなくすために生後数日間の産卵鶏のくちばしにクリップを止めることをしますが、とてつもない痛みから死んでしまうこともよくあることのようです。

需要を減らしていく重要さ

ドイツのBodenhaltung(地飼い)の鶏卵はとても安く販売されていますが、その需要が増えれば酷い扱いを受ける鶏が増えるということです。

卵かけごはんからオムライスなどの料理、お菓子作りにも大活躍の材料ですが、ドイツの卵パックに必ず表示されているこの形態の違いを知ることによって、私自身も卵を使うことを徐々に減らしています。

今後一切卵を食べない、という判断はもちろん大きな影響力を持ちますが、いきなり無理をしてストレスを増やすことや、大好きなものから絶つ判断もなかなか難しい事であると思います。ベジタリアン・ビーガンの活動は動物愛護また環境保護につながる素晴らしい決断ですが、それをする自信がない人はまず1回卵を買う機会を減らしてみるなど、できることから始めるのが良いと思います。

無理をすることはストレスを溜めることや、自分に背く周りを否定しやすくなるので継続や多くの人を納得させることが難しくなります。

マイペースに少しでも多くの人が1つでも多くの鶏卵の需要を減らすことができれば、世界の動きは変わります。

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